2歳児クラスでの朝のひとコマ。
お手洗いを済ませて戻ってきた子どもが、
並べてある椅子の好きなところに座り始めました。
その時、「嫌なの~!」と大声で泣く声がしたので、
近くに行ってみました。
すると、泣いている子が、
その隣に座っている子を押して、
席からどかそうとしていて、
隣の子も今にも泣きだしそうになっていました。
私は、その二人に向かって声を掛けました。
「どうしたの?二人の気持ちがちゃんと
知りたいから、
泣くのが終わったら聞かせてくれる?」と。
すると、泣き叫んでいた子も
泣き出しそうになっていた子も
ピタッと泣くのをやめて、
私を真剣に見ているのです。
そこで、
「まずは、涙と鼻水をティッシュで拭く?」と
尋ねると、二人ともうなずきました。
そして、涙を拭き終わると、
また二人とも私をまっすぐに見つめてくれたので、
「一人ずつ聞かせてね。」と
それぞれの気持ちを話してもらいました。
A「私は隣の席に座りたかったの。」
B「押されてイヤだったの。」
そっかぁ、そっかぁ~。
私「そうだったんだね。
それでは二人に聞いてもいい?
どうしたら、二人ともニコニコな気持ちに
なれると思う?」
二人「わからない。」
私「あっ、良いことを考えた!
椅子を半分こにして座るのはどう?」
二人「全然ダメ~(二人とも笑いながら
見つめ合う)」
私「だめかぁ~(笑)
他にいい方法はないかなぁ?」
A「いいことを考えたぁ!
椅子をくっつけたらいいよ!」
私「それいいね!どっちがどっちか
分からないくらいピタッとくっつけちゃおう!」
私がくっつけてみせると…。
B「これくっつけ過ぎ~(笑)」
A「これじゃ狭いよね~(笑)」
といって、二人で納得する形で、
椅子をくっつけ始めました。
そして、いつの間にか楽しそうに
笑い合っていました。
皆さんは、この出来事を
どう感じますか?
どんなふうに解決するかが重要ではなく、
その時間、お互いに自分の気持ちを大切にして、
その後、笑顔になれば、それでOKなのです。
その時は、正しいことが必要ではなく、
ただぬくもりがあって、それを共有できただけ。
ただそれだけなんだと思うのです。
私も、どちらが正しいかなんて
ジャッジする気は全くありませんでした。
心の中で観ていたことは、
二人がお互いの中に生まれた
何とも言えない「ほっこり」な気持ちを感じ合って、
笑い合う笑顔でした。
(土橋優子)